
第63回神宮式年遷宮はじまる木曽から伊勢まで
8年の歳月をかけて行はれる33の諸祭・諸行事
令和7年5月2日の山口祭斎行より第63回神宮式年遷宮がはじまりました。神宮式年遷宮は遷御をその中心とし、8年の歳月をかけて行はれる33の諸祭・諸行事により新たな御社殿が御造営され御祭神がお遷りになられます。
「皇家第一の重事、神宮無双の大営」とも称される神宮式年遷宮。その御造営の始まりともいへる祭祀が御杣始祭です。

長野県木曽国有林にて御杣始祭
6月3日、長野県木曽国有林にて厳粛な空気の中、御杣始祭が斎行されました。御杣始祭では、御用材の中でも最も重要な「御樋代木(みひしろぎ)」が伐採されます。御樋代とは御神体が納められる御器であり、第63回神宮式年遷宮より次の遷宮までの間、この御樋代木を用ひ整へた御樋代により御神体が奉安されることとなります。

木曽にて伐り出された御樋代木は「御神木」と称され、木曽の地より伊勢の神宮まで運び入れられます。
御杣始祭の厳粛な空気とは打って変わり、その道中では街々をあげての盛大な奉祝行事が行はれました。
雄壮な山車の巡幸や大勢が奉仕する獅子舞や伝統芸能など、その地域に根ざした神賑行事で御神木を歓迎し、神宮式年遷宮の始まりへの喜びが街中に溢れていました。
・各県での奉迎送行事の記事はこちら
長野 御杣始祭奉祝行事「御神木祭」
岐阜 御樋代木奉迎送
愛知 御神木奉迎送
三重 御樋代木奉迎送行事

神宮式年遷宮の始まりは日本安寧の体現
神宮式年遷宮は本来、国家の一大行事であり、欠いてはならない神事として古来連綿と行はれてきました。しかし、戦乱により長く行へなかった時代や大東亜戦争により延期を余儀なくされた過去があります。
戦後はじめての第59回神宮式年遷宮より今日に至るまで、国民の奉賛により20年ごとの式年にて無事執り行はれてきた神宮式年遷宮。それは国家国民の平穏なくして護持出来ないものであり、故に神宮式年遷宮の始まりは日本の安寧を体現し、人々に無上の喜びをもたらすのではないでせうか。

内宮では川曳き、外宮では陸曳き
御杣始祭から始まった各地での祭典・奉祝行事は、伊勢の地で行はれる御樋代木奉曳式にてクライマックスを迎へ、皇大神宮(内宮)では川曳き、豊受大神宮(外宮)では陸曳きにより、伊勢の神領民の奉仕のもと御樋代木が人力で曳き入れられます。

6月9日の川曳きでは、水かさが胸ほどもある冷たい五十鈴川の中を、下流から上流に向かひ約1キロもの距離を奉曳します。
その姿はまさに勇壮といふ言葉がふさはしく、御樋代木を曳く皆さんの顔は、神領民として奉仕出来る誇りに満ち溢れてゐました。
木遣り唄を勇ましく響かせ、3本の御樋代木が威風堂々と宮域へと進んでゆきます。

皇大神宮の宮域内、風日祈宮橋のそばから神楽殿前に御樋代木が曳き入れられると、さきほどまでの勇ましい空気は鳴りをひそめ、神宮の杜が御樋代木を受け入れる静謐な神事が始まります。
多くの神宮神職による奉仕の中、五丈殿に安置された御樋代木は祓ひを受け、御正宮へと奉告されます。

御樋代木のお祭り
厳粛な祭祀に始まり、人々の賑やかな歓迎と喜びを受け、最後にはまた静かなる神事で終はる御樋代木のお祭り。
華々しく神宮式年遷宮の始まりを世に告げ、また神宮式年遷宮の思想を如実に映す赫々たる行事でした。
(神宮式年遷宮の〝こころ〟を守り伝へる委員長 平岡昌太)
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